エアリアルの「日課」

 こんな体になっても、皮疹から痂皮がはがれ、下からきれいな上皮が出てくる。エアリアルの体は、まだ生きることをやめていない。

 エアリアルは、残された時間で、"routine"をできるだけ普段通りに保ちたいと言った。

 エアリアルの"routine"って?
 
 私が仕事に行かない日は、ほとんどどこかでトレーニングしていた。エアリアルの日課=トレーニング。今日も天気がいいので、広場へ。今日は訓練所の行事があって、誰も来ない。一人では寂しいので、友達に連絡したら、アジ練に行く前の貴重な時間、ご一緒してくれた。そこの2頭とさつきとは、全く絡まず、犬たちは全然盛り上がらなかったが、私は話ができてよかった。

 広場から、これまで何十回と通った道を通って、訓練所へ。さつきを預かってもらうためだ。さつきには、悪いと思っている。このとろこ年齢を感じさせるようになってきている上に、最近あまり構ってもらえなくて、やたらに甘えて来るようになっているところに預けられたら、ショックだろう。少しの間だから、我慢してね。
 訓練所は、行事の影響でお留守番の人だけだった。エアリアルに、何年もがんばった訓練所を見せて、お別れした。

 帰り道、エアリアルは、陽光を楽しむように、ずっと鼻先を上に向けていた。ああ、やっぱり、できるだけお外に出ようね。いい季節でよかった。お天気が続いてよかった。

 帰宅後は、さすがに疲れたらしく、ぐったり寝ていた。努力呼吸。自分が食べるために買ったロールケーキ、もしかしたらクリームくらいなら舐めるかもと、鼻先に持っていったら、食べたそうな素振り。舌で舐めとるのはもう無理なので、奥歯の隙間から押し込んでやったら、不自由な舌で一生懸命なめた。そうか、甘いものがすきなんだ。それではと、ハチミツを水で薄めたものを注射器で飲ませてみたところ、一気に40ccくらい飲んだ。誤嚥なし!

 やったーーー

 たったこれだけのことなのに、天にも昇る心地。クリームがOKなら、豆腐はどうか?と、友達に頼んで買ってきてもらった。同様にして食べさせたら、30gくらい食べた。ハチミツ水さらに20ccくらい。口が動いたら、腸も動く。約40時間ぶりに排便。寝たまま。軟便。a/d缶が消化されずにそのまま出たような臭い。やっぱりお腹が緩くなる。


 もちろん、これでは全然足りないし、食べたからといって病気が治るわけじゃない。喜びすぎると、反動が怖い。でも、何もかも拒絶していたのに比べたら、何という違いだろう。奇跡を祈りたくなる。
 こういう気分の上下動が、危険なのだ。

 豆腐を買ってきてくれた友達は、手作りのシチューやパンも持ってきてくれた。エアリアルは、友達を見てしっぽを何回も振った。エアが尻尾を振るのを見たのは、いつ以来だろう。嬉しくて嬉しくて、涙が出た。友達が優しくリンパマッサージをすると、エアリアルは気持ちよさそうに横になっていた。とてもリラックスしていて、数日後に死が迫っている犬には思えなかった。
 彼女は、何年も前に愛犬が突然死し、そのことで自分を責めすぎて鬱になってしまった。だから、今の私に共感してくれる。それに、ローレンの言葉も信じてくれた。そういう犬友と話すのが、今の私には一番の慰めになる。いくら感謝してもし足りない。

 

by sawa4482 | 2012-10-21 19:25 |